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適応タイプ5「思考型」・責任感が強く良心的で理想の自分を追求し頑張り続ける人

2021-03-16

完璧を目指して頑張りすぎる「思考型」の心の葛藤や努力を象徴するイラスト


人は生まれると様々なものを身につけて外の世界に適応していきますが、その適応の仕方には【6つのタイプ】があります。そのタイプを1つずつ紹介していきます。
タイプごとに生きづらさを感じた時に、よりよく生きるためのヒントを載せています。
自分や他者のことを知ることで、心に寄り添える場面が増えますように。

適応タイプ「思考型」の特徴とは

順応性があり責任感が強い

物事を達成して認められたい気持ちが強い

きちんとしたい完璧主義

言う事とやる事が一致していて信頼感がある

まず考える、思考で処理する

非常に良心的で律儀

計画を立ててその通りに進めたい

人に任せるより自分でやりたい

何もしないことが苦手、休むと罪悪感でいっぱい

じっくり自分の感情を感じるのは苦手

他人から見た印象

「空気が読める、頼りになるしっかり者。なんとかしてくれる感じがする」

「勉強、仕事に熱心。いつも忙しそうにしている」

「若干堅苦しいところも」

「本当にすごいと思って褒めても『まだ未熟』『大したことない』と謙遜して受け取ってもらえない」

人との関わり方

・一対一か少人数での関係が落ち着く

・仲間内では積極的に関わる

・「考えていること」を話し合いたい

・意味のないおしゃべりをするより、有意義な時間を過ごしたい

・人に頼らず自分でやる

・忙しすぎて人を遠ざけてしまっていることがある

思考型の人が生きづらさを感じた時によりよく生きるためのヒント

 

「きちんと」で安心をつくる人

思考型の人は責任感が強く、非常に仕事熱心です。

周りの人に頼りにされますし、受け答えが明確で落ち着いた話し方をするので、理性的な印象を与えます。

思考型の人は物事に「思考」で反応、まず考えます。

状況を整理し、計画を立て、順序立てて進めていく。 どんなことも「どうすべきか」をしっかり考えて動こうとします。

そんな思考型の人にとって、「きちんと」はとても大切な価値観です。

やるべきことをきちんとやること、有能であること、責任を果たすこと。 そうやって自分の価値を築いてきました。

だからこそ、周囲からその点を認められると嬉しくなります。

けれどもその分、背負うものが多くなり、いつしか心身ともに疲れきってしまうこともあります。

 

「もっとちゃんとしなきゃ」と、自分を追い立ててしまうとき

思考型の人はまず「感じる」より「考える」ことが優先。

だからこそ、自分の心の不調や疲れに気づきにくい傾向があります。

「これくらいで弱音を吐くなんて甘えだ」「つらくても、やるべきことをやるのが当然」と、自分の気持ちを置き去りにしてしまうことも。

人間は「すべきこと」ができない時もあります。

そうすると焦って、「もっとちゃんとやらねば!」と自分を追い立ててしまいます。

完全にできなければ気持ちが落ち着かない完璧主義。

他の人から見ると、あまりに気を張って頑張りすぎているように見えるので、「たまにはゆっくり休んだら?」「手伝おうか?」と言いたくなるのですが、

思考型の人はそう言われると、自己管理能力がない、自分の代わりは誰でもいい、と思われているように感じ、逆にショックを受けることもあります。


そして、思考型の人は、休んだり、誰かに任せることがとても苦手。

やるべきことをやり遂げる、テキパキと片付ける、優秀な自分が理想です。

そのため、疲れていても全部自分でやらないと気が済まないし、細かいところまで抱え込みます。

職場では仕事が進まない部下の分も背負って、残業、持ち帰りで仕事、休日出勤、ということもあるかもしれません。

口では、「なんでこんなに忙しいんだ」と言いますが、その状況をどこか望んでいる部分もあります。


常に「もっともっと」と頑張っていて、そうして頑張ることが「最善だ」と信じています。

そして理想に足りない自分を、これではだめだ、頑張りが足りない、と心の中で罰しています。

 

「期待に応える子」であろうとしたあの頃

思考型の人が「きちんと」「完璧」を求めて頑張りすぎてしまう背景には、幼い頃からの適応のかたちがあります。

思考型の人は、子どもの頃から親や養育者の期待を強く感じて育ってきました。

「成績は良くあるべき」「目標を立ててやり遂げる子が立派」「模範的に行動できる子が好ましい」。

そんなメッセージを受け取りながら、自然と「期待に応える子」になっていきました。

本当は、子どもらしくいたかった。甘えたかったし、思いっきり遊びたかった。

本当は達成とか、責任とか、期待とか、しんどい時もたくさんあった。

でも、ガッカリされるのが何より怖くて、「ちゃんとする私でいよう」と決めたのです。

 

「あなたの期待どおりに、きちんと、有能に、立派にふるまいます。そうしたら私を愛してくれますよね。」

今まで、少しの情報からでもたくさんのことを推測して、求められる事を必死に頑張ってきました。

おかげで社会でも重宝される「信頼される人」になったかもしれません。

でもその一方で、「子どもらしい私」が抱えていた素直な欲求や、抑えた気持ちは、どこか深い場所に置き去りにされたままになりました。

人の期待に応えることには慣れていても、自分の望みと人の期待の「ちょうどよい折り合いのつけ方」を学ぶ機会は少なかったのかもしれません。

その結果、必要以上にたくさんの責任を背負い込み、「自分がやらなきゃ」と抱え込むクセがついていったのです。

 

自分に対して厳しすぎる批判家

思考型の人は、自分自身に対してとても厳しい目を向けています。

効率よく、間違いなく、手を抜かずにやり遂げる。

それが「当たり前」のように感じていて、他人にも、つい同じ基準を求めてしまうのです。

けれども、それは「人に厳しい」というより、まずは「自分にとても厳しい」から。

他人の不完全さにイライラしたあと、「こんなふうに思ってしまう自分って…」と自己嫌悪に陥ることも少なくありません。


それに、ちょっとでも否定的な感情が湧くと、「こんなことを思ってはいけない」「こんな私はダメだ」と、自分を罰してしまいます。

まるで心の中に「厳格な親」がいて、いつも自分を見張っているかのよう

だから、思考型の人にとって「リラックス」はなかなか難しいもの。

人前でだらしなくしたり、怠けたりしているように見えるのは恥ずかしい。

誰かが頑張っている時に、自分だけ休むのは申し訳ない。

そう思うと、たとえ時間が空いても「のんびりする」ことに罪悪感を持ってしまいます。

「ちゃんとやっているから、認められる」
「ちゃんとしていない私は、価値がない」

そんな思いが心の奥にあって、自分を休ませることにも、自分をゆるめることにも、ブレーキがかかってしまうのです。

 

完全を目指して不安になる


模範的で完璧な素晴らしい人、そうでなければだめな人。

そして素晴らしい人を目指す自分は、道半ばでダメな人。

だから「きちんとした自分でいよう」と完全を目指す。


でもそのことが、かえって「自分は完全でない」と自分自身を否定することになっています。

いくら上へ登っても、登った分だけ先が見え、自分の未熟さを知ります。

何か目標を達成しても、また次に達成すべき目標が見えます。

いつまでたっても、頂上には至らない不安。

でもその不安は自分が生み出しているものです。


「すべてが完ぺきな状態になれば、ようやく幸せになって人生を楽しめる」と思って一生懸命に苦しい頑張りを続けますが、そのルールだと、どんなに努力しても、「今ここの自分」にOKが出せないんです。


思考型の人は今までたくさんのことを頑張ってきました。

誰よりも責任を果たし、周りのためを思い、自分を犠牲にして、役割を果たす。

いい父親、いい母親、いい子ども、いい上司、いい同僚、いい恋人…。

あなたのおかげで、どれだけ多くのことが安定し、守られ、滞りなく進んで行ったことでしょう。

「あなたのおかげ、心から感謝しています」

そう感じている人はたくさんいます。


それはあなたが「やったこと」だけに向けられているわけではありません。

あなた自身も、誰かを想う時、振る舞いがパーフェクトだから愛しているわけではないことを、自分の期待通りに行動するから愛おしいわけではないことを、知っています。

「その人がその人としていてくれること」

それが自分の気持ちをあたためてくれることを感じているはずです。

あなたも、あなたがいてくれることが、すでに誰かの喜びや支えになっています。

完璧であること、なんでもできること、それが「愛の量」を決めるわけではないのです。

 

感情が「いま」のあなたを取り戻す

今までは「きちんと」「正しく」物事を進めることに重きを置いてきた思考型のあなた。

それはとても立派な力で、社会や人を支えてきた大切な才能です。

でも時に考えても考えても堂々巡りになって、くよくよ悩み続けてしまうこともありませんか?

そんなときこそ、「感じてみる」ことを、思い出してほしいのです。

頭だけでなく、心にも耳を傾けてみる。

「本当はどうしたいのか」
「今、どんな気持ちなのか」

その感情は、あなたの「いま」を生きるための、大切なヒント。

特に「怒り」は、自分を守るためのサインです。

責任を背負いすぎて限界に近づいたとき、「ちょっと待って」「それは無理かも」と、心が言っているのに、つい頑張り続けてしまう。

でも怒りは、誰かを責めるためのものではなく、「ここまでは入ってこないでください」という、自分の境界線を知らせる感情です。

我慢しつづけるのではなく、「断る」「やめる」「頼る」も、あなたの選べる行動です。


「やるべきこと」から「やりたいこと」へ

思考型の人は、誰よりも「やるべきこと」を大切にしてきました。

でもその奥には、気づかれないまま、こんな想いが眠っていたかもしれません。

「ほんとうは、そのままの自分を愛してほしかった」
「期待に応えることでしか、受け入れてもらえないと思っていた」

自分が子どもの頃、一番愛情を必要としていた時に期待に応えることで、逆に親へ愛情を与えてきた思考型のあなた。


でも今、あなたはもう大人になって、少しずつ「自分を選び直す」ことができます。

がんばるだけじゃなく、楽しんでいい。

正しさを追うだけじゃなく、ユーモアを持って過ごしていい。

わざとちょっと間違えて笑ってみたり、何も生産しない時間を味わったり。

「今ここにいる人と、ただ一緒にいる」ことを楽しんだり。

そんな一見「無意味」に思える時間の中にこそ、心のゆとりや、つながりが育まれていきます。


あなたの存在は、すでに「誰かの喜び」

あなたは今まで、数えきれないほどの努力と役割を果たしてきました。

でもそれだけじゃない。

あなたが「いてくれること」そのものが、誰かの心を支え、温かくしているのです。


完璧であることや、なんでもできることは、愛されるためにクリアしなければならない条件じゃありません。

あなたが今、ここにいること、それがすでに、尊く愛おしいこと。

それを「あなたが知る」こと。

どうか、自分の存在を「結果」で測るのではなく、「過程」や「今この瞬間の感覚」を味わってみてください。

理想の中にしかいない「完璧な自分」ではなく、現実の中で少しずつ育っていく「今の自分」と一緒に歩んでください。


あなたはもう十分、十分すぎるほど頑張っています。

色々なことを成し遂げてきています。

ただ、あとは、がんばることに使ってきた力を、今度は「楽しむこと」にも使っていく。

その選択が、あなたの人生を、より深く、豊かにしていくはずです。

あなたの幸せを心から応援しています。 

 

6つの適応型タイプ

※これは人格適応論による6つの適応型です。人格適応論はポール・ウェア、テイビ・ケラーによって開発され、ヴァン・ジョインズによって発展した理論です。ここでは、専門用語を使わずわかりやすく表現しています。参考文献「交流分析による人格適応論」(誠信書房2007)

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