
人は生まれると様々なものを身につけて外の世界に適応していきますが、その適応の仕方には【6つのタイプ】があります。そのタイプを1つずつ紹介してきます。
タイプごとに生きづらさを感じた時によりよく生きるためのヒントを載せています。
自分や他者のことを知ることで、心に寄り添える場面が増えますように。
適応タイプ「信念型」の特徴とは
信念が強く、自分の意見をはっきり表明する
恥ずかしくないよう、自分を律して隙のない生活をする
慎重で警戒心が強いので、失敗しないように対策を立てることがうまい
細かいところにも目が届く
決断力、統率力、責任感がある
献身的である
鋭く緻密で素晴らしい思考力をもつ
意志が強く、頼もしい
会計士、数学者、法律家など、きちんと思考することを求められる仕事に向く
サプライズは嫌い、何事も前もって知っておきたい
他人から見た印象
「頼りになるし、尊敬できる、頭があがらない」
「いつもびしっとして威厳があって、こちらの背筋も伸びる」
「適当な返事をしたら細かく追及された」
「考えを曲げないので困ることがある」
人との関わり方
・一人か少人数とかかわりたい
・人を信用するのに時間がかかる

・人から話しかけてほしいが、雑な接し方はしてほしくない
・形式が守られる会話には安心感を持てる
・自分の意見を言いたいしそれを認めてほしい
・自分の行動の動機を本当か疑われると不愉快になる
信念型の人が生きづらさを感じた時によりよく生きるためのヒント
警戒とコントロールで、安全をつくり出す
信念型の人は、思考が鋭く、細やかなところまで注意が行き届く人です。
自分の中にも、周りの世界にも「秩序」があると安心できます。
だから、予想外のことや、先が見えない状況はとても不安になるのです。
このタイプの人にとって大切なのは
「常に警戒しておくこと」
「安全のために、すべてを自分で把握・管理しておくこと」
でもなぜ、そんなふうに思うようになったのでしょうか。
それは、まだ小さな頃、世界を「安全ではない場所」と感じた体験があったからです。
たとえば、
・同じことをしても親の反応が日によって違った
・突然怒られたり、理不尽な態度をとられた
・親の過干渉や過保護で、心に不意打ちのようなストレスを受けた そうした体験をした子どもは、こう感じてしまうのです。
「この世界は、いつ何が起こるかわからない。気を抜いたら、危ない」

守ってくれるはずの人から怖い思いをすると、「何が正しいのか」がわからなくなります。
無防備では生きられない。だから自分の目で常に見張り、先回りして備え、コントロールする。
人を簡単に信用しない。信用のハードルは高くしておく。
この「警戒のスタイル」は、信念型の人が自分を守るために身につけた、大切な生きる術だったのです。
ただ、その代わりに、誰かに心を預けて守ってもらう「安心感」は、手放してきました。
他者との深いつながりよりも、「安全に生き抜くこと」が優先されてきた。
その選択は、子ども時代のあなたにとっては、とても賢明なものだったのだと思います。
100%信頼できる人じゃないと、心は預けられない
信念型の人にとって、人と深く関わること―それは簡単なことではありません。
時間をかけてじっくり関係を見て、ようやく心を開いていく。そんな慎重さがあります。
だからこそ、まっすぐな誠実さや、ブレない信念を持つその姿は、周囲からも「頼れる人」「一目置かれる人」として見られます。
人は、信念型の人の落ち着きや威厳に安心感を覚えて、尊敬を込めて近づいてくるのです。
でも、信念型の人は内心「そう簡単に人を信用してはいけない」「予想外のことが起きないようにしたい」という強い警戒心が動いています。
たとえば、相手が自分に好意的に近づいてきても、「なぜ?なにが目的?」と、その意図を探ろうとします。
・自分を持ち上げて、あとで落とすつもりでは?
・うわべだけ仲良くして、実は裏があるのでは?
そうやって「信じてはいけない理由」を探し始め、相手のちょっとした欠点が目につくようになり、やがて心がシャットダウンしてしまう。
傷つけられないために、自分から距離を取ってしまうのですよね。
でも不思議なことに、相手を遠ざけたあとに、「やっぱり人は離れていくんだ…」と、深い孤独感が押し寄せることがあります。
信念型の人は、心の奥でこんな決意をしています。
「私の心を一ミリも揺らがせない、完全に信じられる人としか親密にはならない」
けれども同時に
「そんな人なんて、この世にいない」
とも思っています。
つまり、「信頼できる人が現れない」のではなくて、「誰も信頼できない世界」を、心の中に先に作ってしまっているのです。
それは、かつての小さな自分が、自分を守るために築いた「安全な世界のルール」なのです。
「感情なんて、必要ない」…そう思ってきたあなたへ
信念型の人は、どんなときも冷静でありたいと願っています。
感情に振り回される自分は、見たくないし、見せたくない。
「感情なんていらない」と思ってきたかもしれません。
でも実は、私たちの思考は、知らず知らずのうちに感情の影響を受けています。
特に信念型の人にとっては、「怖れ」が思考の背後にひっそりと潜んでいることが多いのです。
たとえば
「あの人は、なんであんなことを言ったんだろう?」
「きっと私のことを見下しているに違いない」
「何か裏があるんじゃないか…」
そうやって考えが止まらなくなるとき、その背景には「怖れ」や「不安」がありませんか。
でも、信念型の人は子どもの頃、その怖れを感じた瞬間に、すぐに「考えるモード」へ切り替えてきました。
「怖がってはいけない」
「感情に飲み込まれていたら、自分が壊れてしまう」
だからこそ、思考によって心を守る、というスタイルが培われたのです。
でも、少しだけ立ち止まってみてください。
「自分の思考は、いまどんな感情のフィルターを通しているだろう?」
怖れから、相手の言葉を「悪意」として決めつけていないか。
現実を誇張して見せていないか。
感情を感じることは翻弄されること、みっともない、ではありません。
感情を感じることは、自分の奥深くとつながること。
信念型の人は、まず頭で理由を探そうとします。
なぜこうなったのか? どうすれば改善できるのか?…それが悪いわけではありません。
けれど、変化は「理解したから」だけでは起きません。
「感じて」「受けとめて」「納得したとき」に、はじめて心が動きます。
思考と感情を分けるのではなく、つなげてみる。
その連携が生まれたとき、信念型の人は、さらに深く、自分にも人にも信頼を寄せられるようになっていきます。
「世界は危ない」…その思い込みに、優しく問いを投げかける
信念型の人は、本来とても洞察力があり、冷静に物事を見抜く力があります。自分で自分の内側に問う力がある。
「この人は本当に危険なのか?」
「本当に私を傷つけようとしているのか?」
それを見分ける感覚は、もうきっとあなたの中にあるのです。
そして、あなたには、ただ誰かに傷つけられる存在としてではなく、「自分で自分を守る力」も、「関係を修復する力」も、ちゃんと持っています。
これまで、他人への警戒にたくさんのエネルギーを注いできたかもしれません。
でも、これからはそのエネルギーの一部を「自分への信頼」に向けていくこともできるのです。
それは、自分という味方と、もう一度出会い直すということです。
安全も信頼も、「自分の内側」から始める
信念型の人にとって、変化とはとても慎重で、勇気のいるものです。
これまでのやり方を一気に手放すことには、強い不安がつきまとうでしょう。
だからこそ、焦らず、少しずつ。
今までの自分を否定せずに、「別の選択肢もある」と知っていくことが大切です。
まずは、怖れを「なくそう」とするのではなく、「自分の中に怖れがある」ことを静かに認める。
そして今、自分が感じているものに意識を向けてみる。
すると
「本当に今、この警戒は必要?」
「相手を疑う必要はあるの?」
そんな問いから、心が少しずつほどけていきます。
信念型の人の鋭い観察眼は本来、人を責めたり、状況を疑うためではなく、「真実を見抜く力」として使えるもの。
その力を、自分に向けてみましょう。
「本当に自分は、無力なのか?」
「本当にあの人は、危険な存在なのか?」
問い直してみると、きっと見えてくるはずです。
自分には、自分を守る力がある。
自分には、修復する力もある。
そして、自分には、人とつながる力もある。
これまで他者への警戒に注いでいたエネルギーを、自分への信頼を育てることに向けたとき。
世界は少しずつ「安心して見られる場所」に変わっていきます。
疲れ切るまで考え抜かなくても、すべてを把握していなくても、感情を感じても、あなたは大丈夫です。
本当の安心は「自分を信じる」ことから始まります。
人は、必ずしも自分を傷つける存在ではありません。
そして、自分もまた、誰かを脅かす存在ではない。
信頼しても大丈夫。
頼っても大丈夫。
感情を見せても大丈夫。
それが、あなたという人の“品格”を失わせることは決してありません。
むしろその姿に、人は安心し、信頼を寄せていくでしょう。
あなたが自分を信じるほどに、世界はあなたに優しさを返してくれます。

あなたの幸せを心から応援しています。
6つの適応型タイプ
※これは人格適応論による6つの適応型です。人格適応論はポール・ウェア、テイビ・ケラーによって開発され、ヴァン・ジョインズによって発展した理論です。ここでは、専門用語を使わずわかりやすく表現しています。参考文献「交流分析による人格適応論」(誠信書房2007)
「もっとラクに、自分らしく生きたい」と願うあなたへ。
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柘植かおり|プロフィール
「自分らしく生きたい」と願うあなたへ。心理カウンセラーの柘植かおりです。幼い頃から自己否定に苦しみ、自分じゃない誰かになろうとしていた過去。そんな私が心理学と向き合い、「私」を取り戻すまでの道のり、そしてカウンセラーとして、あなたが心の奥にある本当の願いを叶えるお手伝いをしたいという想いをお伝えします。生きづらさや自己否定は、あなたの深い愛の証。温かく、そして実践的に、あなたが自分らしく根を張り、この人生を心からの喜びで満たせるようサポートいたします。