それって過剰適応かも?
人間関係ってストレスがたまるなぁ、と感じていませんか。
人に会うのが疲れる、家に帰ってくるとどっと疲れが出る、そんな毎日を送っているとしたら、…つらいですよね。
人間関係で疲れてしまうといっても色々なパターンがありますが、
例えば、
人に合わせるのが疲れる…
気を使ってしまい疲れる…
と感じているならば、
過剰適応という状態かもしれません。
過剰適応って? と思われたあなた。
興味を持ってもらえたら嬉しいです。
今回は「過剰適応さん」について知ってほしくて、この記事を書いています。
過剰適応って何?について書く前に、一つ前置きしますね。
「知る」って、課題解決と思いやりの第一歩だと思うのです。
悩んでいる時って、どうしていいかわからない、何が問題なのかわからない、というように、
混乱していたり、よくわからなくてさらに悩んでしまう、ということがありますよね。
私が今まで講師をしたセミナーの中でも、
人間関係のごたごたは、こうやって起こっていて、こういう名前がついているんですよ、
と紹介すると、受講者の方から、
「今まで困っていたことって、こういう事だったんですね。名前がついてなんだかホッとしました。」
という声を頂いたことが何度かあるんです。
大枠でも自分の状態ってこういう事なんだと知ることができたり、名前が付けられると、心が少し落ち着く感じ。
決めつけのためにではなく、理解のために名前をつけると、わけのわからない、という状態からは解放されますよね。
それに、名前があるってことは、自分一人ではないってこと。
自分だけじゃない、そういう仲間が他にもいるっていうことも、安心につながりますよね。
そして、こういう事もあるんだと知ることで、自分や人への理解のきっかけになり、思いやりを持てるようにもなります。
過剰適応とは
前置きが長くなりました。
過剰適応に戻りますが、その名の通り、「過剰」に「適応」してしまう事です。
何に適応しすぎるかというと、自分の外側の環境やまわりの人とか、です。
適応というのは「変化すること」。
つまり自分の行動や考え方を周りに合わせて変える、ということなんですね。
そして、周りに合わせることを優先して自分の行動や考えを変化させていると、気持ちが置き去りになることがあります。
例えば、
○本当は泣きたいくらい傷ついたのに、「大丈夫」と言って笑う
○本当は切羽詰まっていて断りたいのに、「任せて」と言って引き受ける
こういう事ってありませんか?
こうして気持ちを抑えて周りに合わせるのが悪いことだと言っているわけではありません。
何事にもメリットデメリット両方があります。
ただ、抑え込まれた気持ちは無くなるわけではありません。
だから、認められない気持ちはダメダメと否定することになります。
「大丈夫」と笑っていても、
心は傷だらけで、本当は誰かに気づいてほしくて、誰かから優しい言葉が欲しくてしょうがないのに、
迷惑かけちゃダメ、弱い自分はダメ、と責めたり。
「任せて」と快く引き受けても、
内心はプレッシャーで押しつぶされそうになっていて、
胃がキリキリと痛むくらい追い詰められているのに、甘えてはダメと、よりいっそう自分に厳しくあたったり。
そして、自分がそんな状態であっても、周りに合わせてしまうとしたら、
やっぱり適応が過剰だと思うのです。
気持ちが傷ついた時は、落ち込んでもいいし、誰かに慰めてほしいと思ってもいい。
誰かのお願いごとは全部聞かなくちゃいけないわけじゃないし、一人で全部抱え込まなくてもいいんです。
でもそれが出来ないから苦しいんですよね。
過剰適応さんは、なかなか自分からSOSを出せないんです。
しかも外から見たら、うまく順応していると思われるので、周囲からもわかってもらいづらい。
周りの人から見れば、合わせてくれるいい人です。
トラブルを起こす人であれば、周りもどうにかしようとしますが、
過剰適応さんは全く問題のない人、それどころかむしろ人当たりが良くて優しい、優秀な人として映ります。
まさか本人が苦しんでいるとは認識されづらいのです。
また、過剰適応さん本人も、人にわがままを言ったり迷惑をかけることが嫌い。
自分が周りに配慮することは当たり前だし、そうすべきだし、それがいい事だって思っています。
だから、他人の心については、一生懸命不快に思っていないかあれこれ考えを巡らせるのですが、自分の心には無頓着。
なんだか疲れているなぁと感じても、
そんなのは自分の頑張りが足りないせいだとか、
この程度で弱音は吐けない、と思い、
またどんどん頑張ってしまうんですね。
でも、
人に合わせて自分を変えすぎてしまうと、
自分がなくなってしまいます。
それって、本当に本当につらいことですよね。
「あなたであること」がどれだけ価値があって、尊いことか。
そのことを感じてもらえたらなぁと思うのです。
過剰適応さんの強い思い
ところで、
どうしてそうまでして、人に合わせてしまうのかというと、
過剰適応さんはこんな思いを強く持っているからなんです。
・人には良く思われねば
・他人には気を使わねば
・人の期待には応えねば
あなたはいかがですか?
誰でも、ある程度このような思いは持っています。
ただ、バランスの問題なんですね。
人に合わせるか、自分の本音に合わせるか。
自分より人を優先する方に大きく傾いていると、自分の心が満たされなくなってしまいます。
そして、「良く思われなくては」「気を使わなくては」「期待に応えねば」という思いが強いほど、色々な生きづらい感覚を抱えることになります。
・人目が気になる
・完璧主義になる
・他人の感情に振り回される
・自分に自信がない
・自分を好きになれない
・何かと他人と比較してしまう
・心の中に激しい批判、攻撃心がある
・自分の気持ち、したいこと、自分らしさがわからない
・むなしい、空虚な感じがする
・・・などなど、この感覚が日常生活の色々な場面であらわれてくるんです。
日常生活の中の過剰適応さんの事例
ここまでで、だいぶ過剰適応さんの特徴がわかってもらえたのではないかと思います。
最後に、過剰適応の傾向がある人の事例をいくつかあげます。
ここまで読んでいただいたあなたは、
もしかしたら「自分にもそういう傾向があるかも?」と思っているかもしれませんね。
あ、共感できる! と思ったら、
しんどくない?
本当はどうしたい?
本当の自分の気持ちや、本当にしたいことを振り返って大事にしてみる、
そんなきっかけにしてもらえたら嬉しいです。
「適当ができないんです」
仕事でメールの文章を考えていると、こんな表現では誤解されるのでは、これでは正確に伝わらないのでは、と心配になり、見直しに時間がかかってなかなか完成しないんです。
細かいところまで気になって、この表現はビジネスで適切かとネットで調べたり、誤字脱字、あて先などを確認しているうちにどんどん時間が過ぎてしまって。自分でもメールくらい、と思っても、何度も確認しないと送信できないんです。
「人からどう見られるか気になるんです」
いつも一緒にいる友だちとは実はそんなに気が合うわけではないんです。
でも一人でいると周りから「あいつは友だちがいない孤独な奴」「人気がない暗いやつ」と思われるから、それよりはずっとましだから。
面白くない話でも楽し気に笑って、周囲には仲良しそうに見えるように頑張っているんです。
「全部リセットするしかないと思うんです」
今の職場の部署にいるのがつらいんです。
でも誰かに愚痴も言うのもなにか違うし、色々考えると異動の希望も出せないし、目立つのは嫌なので何かアクションを起こすのも難しくて。
もう我慢の限界でこうなったら退職して全部リセットするしかない、と思うんです。
「人を喜ばすために自分を犠牲にしてしまうんです」
翌日は早朝出勤だけど、友人から「この映画面白いから」とDVDを渡され、すぐ見なければ悪いかなと思ったのでほぼ徹夜で全部観たんです。
次の日何か感想を言わないとがっかりされると思い、相手が喜びそうなコメントを考えながら観ていたので純粋には楽しめなくて。
翌朝は眠くて疲れてふらふらの状態で出勤しました。
「人前でゆっくり休めないんです」
仕事も家事も子育ても手を抜くことができないんです。
へとへとでも、のんびりしていると何となく罪悪感を感じてしまって何かしていないと気が済まなくて。
でもこんなに頑張っているのに夫はねぎらいの言葉ひとつくれなくて。そうするとますます見せつけるように家事をしてしまうんです。
「いつもどこか孤独でむなしいんです」
周囲からは「仕事ができる」とか「優しい」という評価をもらっているようです。
でも自分は仕事をちゃんとしたり、人に気遣いしないと存在価値がないんです。
「ありのままの自分が一番」とか聞くけど、自分には何の魅力もないし、嫌われると思います。
自分のせいですが、そんな風だから周りの人と表面的なつながりしかないように感じて孤独だし、誰にも理解されてないむなしさを感じるんです。
「ちょっとしたことでも批判されるのが怖くて仕方ないんです」
電車ではなるべく席に座らないようにしています。
たまたま自分が座っている時に、自分の前に席を譲った方がいいのか迷うような人に立たれると居心地が悪いし。
周りから「なんで譲らないんだ」という目で見られたり、言われたりしたら恥ずかしくて我慢できません。それなら疲れていても立っていた方が気が楽です。
「人の不機嫌が自分のせいのように感じるんです」
職場の先輩が不機嫌になるとすぐ顔に出るので困っています。
自分が何かしたんじゃないかと思うとどうしていいかわからなくなり、冷や汗が出て脈が異常に速くなります。
機嫌が悪そうな時は、なるべく先輩を刺激しないように、気配を消して仕事をしていますし、普段から機嫌を損ねないように気を付けているので疲れます。
「人に好かれるように自分を演じているんです」
人に好かれるように、いつも明るいキャラクターを演じています。周りからちゃんとそう思われているかが常に気になります。
でも本物の根っからの明るい人に出会うと、自分と比較してしまい劣等感と嫉妬を感じるし、やっぱり私はもともとが暗いからダメな人間だ、と自己嫌悪に陥ってしまうんです。
過剰適応は病気ではありません。
特性であり生き方の戦略です。
私もかつてかなりの過剰適応さんでした。
だから、過剰適応の方を過剰適応さんと親しみを込めて呼んでいます。
ここまで、読んでいただいてありがとうございました。
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