みなさま、こんにちは。
先日友人からこんな言葉を聞きました。
「中途半端にやるやらやらない方がまし!」
うんうん、なるほど。
これって
「完璧にできないならやらない、完璧にできるならやる、中途半端が一番最悪」
というものですね。
計画立ててちゃんとやりたいし、出来る保証が欲しいし、失敗したら無駄になるし格好悪いし…
そうなると、やりたいことでも最初からやらなかったり、やりたいことをするために万全の準備に時間を費やして結局全然始められなかったり、一歩踏み出せなくなりそうです。
このような「完璧にやるか」「完璧にやらないか」の二択の考え方って、よくある考え方だと思うんです。
「白黒思考」とか「全か無かの思考」とか呼ばれますね。
例えば、こんな考え方もそうですね。
○希望の大学に入らなければ人生は終わりだ
○仕事で失敗したらもう会社にいられない
○私を好きでないってことは嫌いってことね
この考え方をしている時って、「白か黒かはっきりしないと気持ち悪い」「どっちかでないと落ち着かない」「グレーな人を見るとイライラする」、そんな感覚があると思います。
人にイライラするだけではなくて、自分に対しても厳しく、1つ何かが欠けているとすべてがダメに思える完璧主義の傾向があります。
そしてこの考えって結構苦しいんですよね。
白か黒か、0か100か、で考えると「いい」か「悪い」かで分類することになります。
いいものには自信をもっていいと思えますが、悪いと分類したものは絶対に悪いと思いますから、自然と批判的な気持ちになります。
人を批判する時の気持ちってどんな気持ちだと思いますか?
批判された方からすれば、偉そうなこと言ってさぞかし優越感に浸っているんだろうな、いい気分なんだろうな、そんな風に感じるかもしれません。
けれども自分が人を批判した時の気持ちを思い出してみてください。
「絶対におかしいよ!」そう思うことがあったら、正したくなりますよね。
例えば誰かに対して声に出してでも、心の中ででもいいのですが「怠け者だ!」と批判したとします。
そのように思うは大抵自分のことを勤勉で真面目だと思っています。
自分のこと怠け者だと思っていたら人のことを批判しないですよね。
怠ける人を批判する時、勤勉であることが正しく、怠けている人は責められるべきで、批判は正当だと感じています。
なにせ自分は真っ白な正しい勤勉者で、相手は真っ黒なさぼり魔ですから。
けれども、「いつも」「絶対」勤勉であることはできません。生まれてこの方一度も手を抜いたことがない人はいません。
心の奥深くではそのことを、自分では気が付かないかもしれませんが、知っています。
自分も違う場所では手抜きをしていることがあるとか、実は手を抜いてラクをしてそれでも周りから認められている姿を羨む自分がいることとか、勤勉にやれ!と心で思っておかないと自分は堕落してしまうに違いない(もともとは怠惰である)という思いとか。
自分も実はさぼったり怠けたりするそういう側面もある、それを本当の自分の心は知っているんです。
でもそんなことは受け入れられないので、自分から怠惰な自分を切り離し、ますます目の前の怠け者を批判します。
そしてその人を批判しながら、実は自分の心の奥深くの怠惰な自分の側面を傷つけているのです。
しかも真っ白の立場でいるために「いつも絶対勤勉な人」というとても狭い足場に必死に立っています。
そんな場所では、心置きなく過ごしたり、のびのびと行動するのは難しく、かえってそこに立っていることが苦しくなります。
これは誰の心にも起こることで特別なことではありません。
なぜこのような二分法的な捉え方をするようになるのでしょうか。
必ずではありませんが、原因の一つとして、子供の頃の体験が考えられます。
子供の頃って、教育やしつけの言葉をたくさんもらいますよね。
いつも宿題を終わらせてから遊びなさい
絶対に知らない人について行ってはいけません
嫌いなものでも消して残さず食べなさい
泣いたら負けです
いつも感謝の心を持つべきです
教えはもちろん子供のためを思って伝えられるものがほとんどです。
けれども、いつも、絶対、常に、これだけが正しい、それ以外はだめ、
というこれらの言葉は、物事には「いい-悪い」、「優-劣」、「強い-弱い」などの二つの面があって、物事は表でなければ裏だというメッセージになります。
(そして悪いと判断された側面は、自分から切り離し他人に投影します。)
成長するにつれて、こんな面もこんな面もあるのが人間だよねと心の中の葛藤は統合されていくのですが、それがうまく安定しないままのことについては、白か黒かの極端な考えをすることがあります。
<白黒思考だと、正しい事、正解、幸せへの道は1つしかない。>
・お世辞をいう人は信用できない(だから私は絶対本音しか言わない)
・人に嫌われたら生きていけない(だから私は必ず人に気を使うようにしている)
・この人と結婚できなかったら一生不幸(だから絶対浮気されないように行動をチェック)
<でも実際は選択肢が無限にある。道がないと思う所も進むことが出来る。そしてどの道も幸せにつながっている。>
・お世辞を言う人を信用してもしなくてもいい(会話の潤滑油、マナー、冗談、嫌味、攻撃、いろんな種類があって、受け取りたいものを受け取ればいい)
・人に嫌われても生きていける(全員に好かれることはない、同じように全員に嫌われることはない、好き嫌いも人間関係の指標になる)
・この人と結婚してもしなくても私には幸せになる力がある(結婚して不幸になる事もある、未来の保証を求めて今の幸せを犠牲にする必要はない)
◎極端に考えてしまいつらい時は
では白黒思考で陥りがちな考えで苦しくなってしまった時は、どんな風にとらえたらいいでしょうか。
まずは自分が白黒思考をしているな、と気づくこと。
そして気づいたら考え方を見直してみることです。
極端な考え方におちいっているなぁと感じたら、白と黒の中間を見てみたり、全体を俯瞰してみてみたり、逆にまとめてみているものを分解してみたり、減点方式で見ているものを加点方式で見てみたりして、物事のとらえ方を変えてみましょう。
○例)「プロにならなければやっても意味がない」
⇒プロになって収入を得たり、プロフェッショナルと認知されるぐらいでないと、と趣味では意味がないように感じる。
おそらく「プロ」という未来が確実に手に入らないならば、時間も無駄になってしまうように感じたり、自分で失敗の傷つきを感じるのも、他人から批判されるのも避けたい、そんな風に思っているかもしれません。
たしかに途中で起こる挫折や失敗を想像すると足がすくむこともあります。
しかも目標に到達できるかどうかもわかりません。
そんな確実でないことはできないと思うかもしれませんが、じつは日々確実でないことをやってのけています。
今生きている人生が、結末の見えないシナリオを歩いているようなものですよね。
そして日々が確実でない中で、人生ここまで生きてこられているわけです。
あなたはすでに、今まで予測がつかないいくつも困難や壁を乗り越えてきた実績があるわけです。
そしてゴールはどこにおいてもいい。
そして何をもって失敗か成功かは自分で決めていいのです。
だから高すぎる目標を定めて動けなくなるなら、達成できそうな目標に変えてもいいのです。
失敗が嫌なら、それを学びと読んで本当にそこから学べばいいのです。
成功か失敗かだけでなく、目標に至る「成長」という観点から人生を楽しめるとラクになれそうですよね。
○「1つミスがあったから今日のプレゼンは失敗だ」
⇒1つのミスでも全部が台無しになったように感じる。
完璧を目指す心の持ち方は、成果の質をあげたり、向上心により自分にも身につくもがたくさんありますよね。
そして強い気持ちで完璧を目指しただけに、完璧以外は許せないように感じるんですよね。
ところでプレゼンはたくさんの要素で出来ています。
資料の見やすさ、進行の仕方、根拠やデータ、説得力、質疑応答への準備…などなど。
それらの各項目についての点数はどうでしょう。
おそらく全部0点ということはないでしょう。
そして結局失敗だったとか、0点だったと感じる時、自分自身の価値までないような感覚を持っていませんか。
ざっくり全部失敗、ととらえるよりも、どの部分がうまくいかなかったのか取り出して対策をした方が、きっと次回にいかせますよ。
そしてよかったところも同様に取り出してそこを伸ばしていった方が、さらに活躍できるようになると思います。
○減点方式で物事をとらえてしまう
「全か無かの思考」のパターンを良く使う方は、100点を基準にして、自分で減点するくせがあります。
出来たことから「でも」「けど」でどんどん点数を引いていくのです。
「一生懸命友だちの話を聴いたけど、いい返しができなかったな」
「最後には何とかなったけど、注文を聞き間違えたのは最悪だった」
そこで、減点していくやり方を加点していくやり方に変えてみましょう。
そうすると出来ていることに注意が行きます。
無理に加点しようと付け加えなくていいんです。
文章を逆さまにして声に出してみましょう。
「いい返しができなかったけど、一生懸命友だちの話を聴いた」○
「注文を聞き間違えたのは最悪だったけど、最後には何とかなった」○
受け取り方が変わりませんか?
確かに少し違うかも、と思っていただいたら嬉しいです。
これは単なる言葉遊びではなく、言葉は言霊、自分の心に影響を及ぼすものです。
「少し違う」が自分の中で受け取れたら、気持ちが少し柔軟になっている証拠ですよ。
今日も、読んでいただいてありがとうございます。
あなたの大切な一日が笑顔と幸せの溢れる一日でありますように。
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